第二章 闇鬼との遭遇

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橋を押し流してしまいそうな勢いで鉄砲水が橋桁に打ち付けられた。橋は大きく揺れ、橋の上にいた人々が大声や悲鳴を上げながらその場に倒れる。しかしさらに鉄砲水が次々と橋を襲う。ハチは橋から少し離れ再び大川の上流のほうへ目をやる。そこにはぼんやりとではあるが何か黒い影のようなものがいるのが分かった。ハチはその正体を突き止めようと急ぎ川沿いを上流のほうへ駆けて行った。黒い影が不気味に呟く。 『姿を表せ時雨を倒した男よ。さもなくばこの鉄砲水で橋もろともすべて流してくれるわー!!』 ハチは目線を切らすことなく必死に川沿いを走る。ようやく黒い影のところへたどり着くとじっと様子を伺う。黒い影もどうやらハチに気が付いた。 (あいつ、俺が見えているのか) ハチはじっと目を凝らしながら黒い影を見つめながら呟いた。 「なんだ、あれは?」
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