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意識がはっきりしないハチは虚ろな状態のまま源治の声に反応する。
「おっ親分・・・」
源治は全身が水浸しになっていたハチの様子を見て尋ねた。
「お前、誰かに川に突き落とされたのか」
ハチは黙って首を横に振った。意識もまだはっきりしない様子であった。源治は他の事を尋ねる。
「誰にやられた」
するとハチがゆっくりと息を吐きながら答えた。
「みっ水が襲い掛かって来た・・・」
源治は思わず聞き直した。
「なっなんだと?」
「だっだから、水が龍のようになって襲い掛かって来た」
やはり源治にはハチの言っていることが飲み込めなかった。
「お前、頭でも強く打ったんじゃねえか」
ハチは源治に自分が気を失うまでの状況を詳しく話した。だが、源治は皆目理解出来ない。
「ハチ、お前さっきから何、訳がわからねえことばかり言ってやがる。大川で鉄砲水、川の上にあった黒い影、龍のようになった水が襲い掛かって来た?お前仕事もせず悪い夢でも見てたのか」
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