第三章 獣火の恐怖

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 永代橋東詰   源治とハチは『屋敷』へ戻るため、川沿いの道を歩き永代橋に向かって歩いていた。ハチは道すがら自分が襲われた状況を必死になって源治に説明するが源治は一向に取り合おうとはせず、ただ黙々と歩いていた。ハチも必死に食い下がる。源治はそんなハチを見て次第にイラつき始める。 「親分、だからさっきの話は全部本当なんですって」 「ハーチー、てめえいつまでそんな訳のわからねえことを言ってるつもりだ。おうっ!!」 源治の凄む姿に思わずハチも腰が引け、理不尽さを噛み締めながら黙り込んだ。すると突然、静寂な夜の川沿いに甲高い笛の音が鳴り響いた。 「呼び子!!」 源治がとっさにそう口走るとハチは耳を澄ました。すると大川の上流、北のほうから呼び子の音が聞こえた。 「親分、新大橋のほうだ」 ハチが源治にそういうと二人は急いで北にある新大橋のほうへ向かった。  
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