第三章 獣火の恐怖

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 新大橋東詰     呼び子の音がした新大橋のほうへ駆けつけると男が一人暴れ回っており、その姿は牙をむき鋭い爪を立て常軌を逸していた。 『きしゃあぁぁぁ』 男は奇声を発しながら辺りを見回し威嚇している。暴れる男の周囲には取り押さえようとした岡っ引きが何人か倒れていた。源治は男の姿を見るなり言った。 「あれは行方がわからなくなっていた奉公人」 「おっ親分、でもあの姿はいつも小見が戦っているときの・・・」 「獣火・・・とかいうのが取り憑いてるようだな」 「くっ・・・」 「けっ、獣火かなんか知らねえが、目の前で暴れてるのにほっとけるか。畜生めが!!」 そういうと源治は腰に差していた十手を抜き、獣火が憑依した奉公人に向かって構える。 「ハチ、お前倒れてる連中をとりあえずどっか安全な場所に寄せとけ」 そう言うと源治は十手を振りかぶり大きな雄たけびをあげながら獣火が憑依した奉公人に飛び掛った。 「うおおおおー!!」 キーン!! 獣火が憑依した奉公人が源治の十手を鋭い爪で受け止める。 「ぐぐっ・・・」
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