第三章 獣火の恐怖

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「危ねええー!!」 源治の十手がその奉公人の顔面を捉え綺麗に打ち抜いた。さすがに効いたのか大きく後ろへ弾き飛ばされ、顔面を押さえながら転げ回っている。すかさず源治がハチに声を掛ける。 「ハチ大丈夫か」 「へい、助かりました」 しばらくすると、顔面を赤く腫らした奉公人がふらふらと立ち上がる。そして再び奇声を発する。 『きしゃあぁぁぁ』 先ほどよりも速い勢いでハチ目掛けて襲い掛かる。ハチは受け止めきれないと察しとっさに身をかわす。しかし鋭い爪がハチの足をかすめた。 「ぐああー」 ハチは思わずその場に転がった。 「ハチー!!」 源治が駆け寄る。 「ハチ大丈夫か、しっかりしろ」 「おっ親分、大丈夫だ。足を少しやれただけだ」 ハチの足には爪でかかれた傷があり出血していた。ハチが悔しがる。 「畜生、なんて速さだ」 源治がハチをかばうようにして奉公人に十手を構える。 『きしゃあぁぁぁ』 またしても奇声を発すると同時に凄まじい速さで源治に向かって襲い掛かって来た。 「このやろうー!!」
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