第三章 獣火の恐怖

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「うおおおー」 どん!! 源治の上に馬乗りになっていた奉公人が弾き飛ばされた。源治が留めを刺される寸前にハチが決死の覚悟でその奉公人に対して体当たりをかました。 「親分、しっかりして下さい」 ハチが気を失いかけている源治に対し必死で呼びかける。 「ハッハチ・・・」 源治も必死で答えようとするが意識が朦朧としていて言葉が出てこない。 「親分ー」 ハチの体当たりで弾き飛ばされた奉公人がふらふらと立ち上がってきた。それに気づいたハチは座り込んだまま源治を背にかばうように身を挺す。だが、獣火が憑依した奉公人のあまりの強さになす術を持たない。奉公人はふらふらとハチの前までやってくると顔色一つ変えることなく思いっきりハチを蹴り飛ばした。 「がはっー」 凄まじい蹴りの勢いはハチを二間以上弾き飛ばした。その一撃であばら骨が折れたハチはその場にうずくまったまま動かなくなった。 「ぐううっ」 折れた所を押さえながら苦しむハチ。そんなハチを横目に奉公人が再び源治の喉元目掛けて鋭い爪を振り上げた。
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