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町外れの小さな小屋
紫陽が怪しくゆれる炎の前に座り、時折護摩木を焼べながら静かに不気味な念を唱えている。少しして念を唱えるのを止めると独り言のように呟きはじめた。
「闇鬼の力を増して呼び起こした摩那斯よ。獣火とともに城下を存分に暴れるがいい。天隠流の使い手の小見も時雨との戦いで深手を負い動けぬ今、この機を逃
す手はない。吉宗め、今度こそ江戸城から引きずり出してくれる。そしてその首、必ず貰い受けてくれるわ。ふっふっふっ・・・」
そう呟いた後、紫陽はまた静かに不気味な念を唱え始めた。
その頃、吉宗の命を受け京へ遣わされていた一人の男が東海道を江戸へ向け急ぎ戻っていた・・・。
獣火が憑依した奉公人に襲われ、なす術もない源治とハチ。一体どうなってしまうのか。また、いまだ目覚めぬ小見の容態はいかに・・・。
裏御庭~URAONIWA~第六話 闇鬼の摩那斯(まなし)後編へ続く。
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