夏の夜

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って、そんなことはどうでも良いんだよ! 今はそれどころじゃない。 あの男が “動くなよ” と言ってから俺の足は動こうとしない。 てか、足に力が入んねぇ……? 「……何だよこれ。おい、動けよ。」 必死に足を動かそうとするがピクリともしない。 ……やばいやばい。 このままじゃ、あいつに見つかる。 そう思ったときにはもう手遅れで、俺の前にはさっきの男だと思われる人物が立っていた。 「チッ。んだよ男か。 女なら血うめぇからラッキーだと思ったんだがなぁ。」 「血……? やっぱり……吸血鬼……。」 舌打ちをしてから、ニヤッと妖艶な笑みを浮かべる男。 それに対して俺は、わなわなと震える手で男を指差す。
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