夏の夜

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「よぉ、お前さっきの見てたろ?」 さっきの とはきっと女性の血を吸っていたところだ。 「み、見てない。」 はい、嘘つきました。俺は見てた。見てたけどあれは不可抗力じゃないか? 道歩いてたら 彼女が知らない男と腕を組んで歩いてんのを見ましたー みたいな? そう思い、あえて俺は見ていないと答えた。 男はさっきまでニヤニヤと笑みを浮かべていたが、つまらなさそうな表情をして 「ふーん。あっそ。」 と答えた。 それから男は俺を品定めでもするかのようにジーっと見ていく。 そのあと、犬のようにクンクンと俺の臭いをかぐ。 「な、何だよ。」 男の行動に驚き思わず喧嘩腰になる。
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