夏の夜

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「─ッ! 暁!痛いッ! くっ!」 予想外の痛さに思わず俺は暁にしがみつく。 「大丈夫だ。直に良くなる。」 暁はそう言うとまた血を吸う。 てか、良くなるってなんだ……? 踏ん張れの意味も理解できてないんだけども……? 理解しようと考えるけど今は痛みのせいで考えられない。 「……っ、痛いっ! ……っうぁ?」 な、なんだ?痛いのが薄れてきた? なんか、痛いのと違う感覚? 「──暁! 俺何か変! あかつッ! ッ!? 」 何かムズムズして、足がガクガクする。 暁にしがみついてやっと立てている状態だ。 気を抜けば崩れる。 …………踏ん張れってこの事かよ!!! 「優、落ち着け。お前は変になってねぇよ。吸血鬼に血を吸われりゃ誰だってそうなる。痛みと快楽を与えるもんなんだ。」 暁が何か言ってるけど耳に入ってこない。 経験したことの無い感覚のせいで頭がパニックを起こしている。 「あっ!……はぁ。うぁ。 ッ!」 暁は既に血を吸うのを止めているはずなのに、この感覚は止まらない。 それに、俺の口からは女みたいな高い声が出てる。 我ながら気持ち悪い← 「ど…しよ。変な感じ、止まん……ない! ッ!」
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