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「月子ちゃん…」 「はい?」 「なにか、嫌なことでもあった?」 「…どうしてですか?」 「…何となく…」 「嫌なことなんて、ないですよ。 …逆に……いいことなら あったかな」 何かを含んだような口調に、 わたしは例によって、 たやすく落ち着かない気持ちに させられてしまう。 「…いいこと、って…」 「聞きたいですか?」 「……」 わたしは首を横に振った。 「…いい。…聞きたくない…」 月子ちゃんはフ、と笑って、 「弱虫」 と呟き、原稿に目を戻した。
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