365人が本棚に入れています
本棚に追加
「月子ちゃん…」
「はい?」
「なにか、嫌なことでもあった?」
「…どうしてですか?」
「…何となく…」
「嫌なことなんて、ないですよ。
…逆に……いいことなら
あったかな」
何かを含んだような口調に、
わたしは例によって、
たやすく落ち着かない気持ちに
させられてしまう。
「…いいこと、って…」
「聞きたいですか?」
「……」
わたしは首を横に振った。
「…いい。…聞きたくない…」
月子ちゃんはフ、と笑って、
「弱虫」
と呟き、原稿に目を戻した。
最初のコメントを投稿しよう!