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「おつかれ、萌」
少し困ったような顔をして、
更科くんがわたしの頭を
くしゃくしゃっと撫でる。
「…おつかれさま…」
ぼさぼさにされた髪を
直す気力もなく、わたしは
ブースから重い足取りで出た。
他の部員たちも、
今のわたしの放送での
数々の失敗を耳にし、
気を使っているようだった。
「おつかれさまでーす」
月子ちゃんが足取り軽く、
わたしを追い越して行く。
「春山先生っ」
月子ちゃんは、トトト、と
先生の元に走り寄った。
「今日の放送、どうでした?」
「…まあ、…良くはなかったね」
先生の声に、わたしは顔を上げた。
少し硬い表情をした先生が、
わたしを見つめている。
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