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とぼとぼと階段を降りて行くと、
ポケットの中の携帯が振動した。
立ち止まると、すぐに振動が止む。
…メールだ。
今は見る気力もなかったので、
わたしはそのまま再び
階段を降り始めた。
「…おい」
頭の上から声が響いたので、
見上げると、……上の階段の
手すりから、春山先生が
ひょっこりと顔を出している。
「…はい…」
「…携帯、見ないの」
「…え…」
そう言われて、急いで
ポケットに手を入れる。
もしかして、今のメール…。
携帯を開くと、『はるきち』から、
短いメッセージが送られて来ていた。
『今日は塾、何時に終わる?』
「……」
顔を上げると、
先生は視線を逸らし、
知らんぷりをしている。
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