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「そういえば、侍女の一人がいっていたわ。あの子が言うには、おとぎ話はほかの世界の物語で、ほかの世界からきた妖精が教えてくれた、と。でも、どこをさがしても、ベッドの下をのぞいたって、そんな妖精なんて部屋にはいなかったそうよ」
「ふむ、しかし、あの子がどこからか他の世界の物語を聞いているのはたしかだ。そして、それは我が国にとっても危険なことなのだ」
暖炉の火でゆらゆらとゆれる王さまの顔は、いつものやさしい王さまの顔とは違って、ちょっとだけこわくみえます。
「そうね、今はまだあの子が子どもですからわらわたちの言うことをきいていますけど、これ以上あの子のあたまが良くなってしまったら……」
美しい王妃さまも心配ごとにうつむいてしまえば、そのきれいな顔は残念ながらかげってしまいます。
「……そう、あの子の、あの子だけの“不思議なチカラ”は危険なのだ。あの子は物語をそのまま武器にしてしまう……」
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