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ハルくんは、また駅まで私を送ってくれた。
わざわざ同じホームにまで来てくれて、一緒に私の乗る電車を待ってくれた。
アナウンスが、列車の到着を告げる。
「ごめん」
そう言って、ハルくんは、一瞬だけ私の頭を抱き寄せた。
滑り込む、列車。列車待ちの雑踏。
列車の扉が開くと、下りてくる人波が、スローモーションのように私たちを避
けていく。
「気を付けて」
そうしてハルくんは、一番最後に私を列車に押し込んだ。
動き出す列車の扉の窓から、私はずっとハルくんを、見えなくなるまで見つめ続けていた。
ハルくん。
私、なんでこんなところで、泣いてるんだろう。
家路につく、夜更けの列車。
あともう一回乗り換えて、それから、遅くなっちゃったから、駅からは、タクシーかな。
付き合ってもいないのに、別れてきたみたい。
なんだか、変だよね。
ねえ、ハルくん。
謝られても、突き放されても、嫌いには、きっとなれそうもないよ。
だって、前より、もっと。
好きになってる。
このまま、年が明けて、そして春が来るまで。
あなたに、会えなくても。
また、あなたのいるところを、ずっと探し続けるだろう。
ハルくん。
こんなに、好きで、届かなくて。
……でも、終わらない、
――――sweet pein.
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