それでも、恋は

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 好きな人には、彼女がいて。  本人から「あきらめて」とまで言われてしまったというのに。  それでも。  まだ、好き。  ハルくんだけを、見つめて。  季節が、巡り、また秋が来た。   「美緒、今度の土曜日、開いてる?」 最近、彼と別れた明日菜。  しょっちゅう私を誘ってくる。 「予定は、ないけど」 「じゃあ、都香駅に10時ね」 強引に時間と場所を決められ、土曜日を埋められてしまった。  なにもないから、いいんだけどね。  そして、土曜日、都香駅に行ってみたら。  明日菜と知らない男の子が二人。  ……やられた。 「明日菜、どういうこと?」 「まあ、いいじゃない。私だって新しい出会いが欲しいし。助けると思って、つきあってよ」  明日菜によると、一人は中国語クラスで知り合った杉本くん。  潔い短髪で、たれ気味の細目がすごくいい人そうな印象。  もう一人は、明るい茶髪の岡野くん。 「長谷川さん、去年、法制史一緒だったんだけど」 あー、記憶にないです。 「その様子じゃ覚えてないよね?」 ……ごめんなさい。 「今年は、刑法概論とか一緒だから、よろしく」 岡野くんは、これから覚えてね、と明るく言ってくれた。  それから、四人でボーリング行ってカラオケして、ご飯食べて。その間に、岡野くんにメルアドを聞かれ。  断るのも変かなとアドレス交換し、その日は解散した。
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