この胸の永遠 ~ 初夏から夏へ

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 会えない日も。  ただ、見ているだけの日々も。  隣で、話せる奇跡のような瞬間も。  ただ、好きで。  ……ずっと、好きで。  いい加減、しつこいかな、って思うこともあるけど。  それでも、どうにもならない。  告白してもないのに「あきらめて」と突き放され、しばらくはハルくんとの接点も少なくて、いつかは忘れられるだろうかと思ったり。  思いがけず好意を示してくれた人もいたのに、それがきっかけでハルくんへの気持ちを再認識してしまったり。  ゆらゆら、心の海の中で、浮き沈みはあるものの、変わらなく、ずっと。  ―――ハルくんが、いる。    三回生になって私が登録したゼミは、民法の池田ゼミ。  いつも一緒にいたメンバーもそれぞれのゼミに分かれたけど、千裕だけは一緒だった。もともと選択科目のかぶりも多かったし、嗜好が似ているのかもしれない。  池田先生は、同じ民法系ゼミの松林先生と仲が良くて、月に一回は合同ゼミを開く。  過去の訴訟を一緒に調べたり、模擬裁判をしたり。別イベントで、裁判所見学に行ったり、傍聴したり。おまけに、親睦会と称した飲み会がしょっちゅうある。  その松林ゼミには、ハルくんが登録していて。  二回生の時よりずっと、会う機会が増えた。  それが、幸せなのかどうか、わからないけど。  それでも、ハルくんの近くにいられることが純粋に嬉しくて。  合同ゼミが楽しみだったりする。
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