雨の日、キミに欲情する

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わざわざ私の横に椅子を並べた事もだけど、普通は自分だけサッサっと座らないよね？　

矢野さんの上司は圭ちゃんだよね？　

上司よりも先に座る？

矢野さんの一連の動作に対して驚きつつ、その驚きすらも通り越して呆れた気持ちになっていた私は、圭ちゃんが今どんな顔をしているのかが気になった。

だから横目でちらりと圭ちゃんを見ようとしたのだが……

「野々村さん」

「え？　あ、はい」

矢野さんに話しかけられて驚き、圭ちゃんの顔を見ないまま矢野さんの方を振り返った。

矢野さんは私が手にしていたロールケーキに関する資料に視線を向けながら

「デザインは野々村さんが考えてくれるんですね」

と言った。

まだ決定事項ってワケじゃないんだけど……

チラリと野島さんを見てから

「ええ。そうなるかもしれません」

私は苦笑いして答えた。