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何故、それを……
どうして今、私に言うのだろう。
川田さんは私に何が言いたいのだろうか。
私にはその真意がわからない。
わからない私は、川田さんの顔をただ黙って見つめ続けていたが、笹島さんが息を切らして戻って来た。
「ごめん! 待たして! 野々村さん、大丈夫? 今、野島さんも来るから、先にタクシーに乗ろう」
笹島さんは川田さんの方を向き
「お世話をおかけしました」
と言って一礼すると、
「いえ。とんでもございません。
どうかお気をつけてお帰りくださいませ」
川田さんはそう言って一礼を返してきた。
この時の川田さんの表情。
さっきの表情と違って、優しい微笑みを浮かべていた。
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