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あれ? 今のは……夢?
ああ、そうだよね。
夢だよね。
だって圭ちゃんは一緒に遊んでた頃の圭ちゃんで。
あれ? 違う……あまり会わなくなった頃のような気がする。
ああ……でも、やっぱり夢だ。
もう圭ちゃんはいないし、此処は真っ暗で何も見えないんだもの。
ふわぁ……眠い。
眠いなぁ。
凄く眠いのに……あれ?声がする。
さっきは雨音だったのに、今度は声が聞こえる。
『何があったんですか?』
あ、この声、千沙だ!
でも千沙の顔が見えない。
さっきは雨音で明るくなって公園の景色に変わったのに、今もまだ此処は真っ暗だ。
何も見えない……それなのにまた、違う誰かの声だけが聞こえる。
『わからない。ただ精神状態がかなり不安定だった』
『側に居たのに、守ってあげれなかった』
誰の声?
男の人の声がする。
笹島さん?野島さん?
どちらの声なんだろう。どちらにも聞こえる……
『曖昧な態度はやめて!』
千沙の悲痛な叫び声。
その後に聞こえていた他の声も、小さく遠のいて……また真っ暗で音のない世界。
真っ暗だから、また眠くなってきた。
あぁ、やっぱり眠たいな?
だけど眠ってしまう前に……
もう一度、あの雨の音を……
圭ちゃんに……会いたい。
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