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また薄ぼんやりとした光が見えて、誰かの声
「……花菜! 花菜!」
と呼ぶ声が聞こえ……
私はパチっと目が覚めた。
ゆっくりと視線を動かすと千沙が居て、ボロボロ涙を流しながら私を見ていた。
「千沙……?」
「花菜! 目が覚めたのね!」
私が目覚めた事に気がついた千沙は
「起きてきてくれて良かったぁぁ」
ポロポロと涙を溢していた涙を指で拭き取り、力無さ気に笑って言った。
「花菜。会社に戻る途中で、倒れたのよ。覚えてない?」
「え?」
私はゆっくりと辺りを見渡して自分の居る場所を確認した。
此処は……私の部屋だ。
私はベッドの中にいる。
確か私は帰社する為に、野島さんと笹島さんと一緒にタクシーに乗ったはず。
「どうやって私は家に戻って来たの?」
戻って来た記憶がない私は戸惑い、千沙に聞いた。
「野島さんと笹島さんが、花菜に一番親しいからって連絡をくれたのよ」
千沙が言うには──
タクシーに乗ってから突然に、私が眠り出した。
ただ寝ているだけだと思ったが、会社に戻っても起きない私を見て野島さんと笹島さんは意識を失ったのじゃないかと思ったらしい。
それで私に一番親しい人物である千沙に、慌てて連絡したということだった。
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