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「ちょ、ちょっと! 花菜! 目、どっか行っちゃてるよ!」 花菜が私の視界の前で見えてる?と言わんばかりに手を振る。 「……」 それでも無反応な私に、千沙はニヤニヤと笑う。 「まぁ、でもさぁ、良かったじゃん。 女子の憧れのお姫様だっこ、それも野島さんにしてもらったんだから」 そう言ってから、自分の両頬に手を添えると 「思い出しても……いや~ん。 野島さん、本当に格好良かったわよぉ。 王子様みたいで」 少しだけ顔を赤らめながら言う。 そしてチラリと私を見た千沙は 「ほーんと良かったわねぇ」 と、私を冷やかした。 「う、嘘だぁ……」 と真っ青な顔をする私に千沙は 「ううん……本当よ」 とにっこりと微笑んだ。
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