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お兄ちゃんは小さな苦笑いを浮かべて言った。
「連絡をくれたのは、圭だよ」
「え?」
「お前の様子がおかしいと、携帯が電話をくれたんだよ」
「……」
「それですぐに花菜の携帯に電話しても全く繋がらないし、仕方がないから会社の方に直接かけたんだ」
と言ったお兄ちゃんは千沙の顔を見ながら言う。
「千沙ちゃんから事情は全部、聞いた」
お兄ちゃんと目を合わせた千沙は、慌てお兄ちゃんから目を逸らし私の方を見る。
「そ、それは花菜が倒れた時に光太さんから電話を頂いたから、私が代わりに出て状況を説明をしただけで……」
少し困ったような表情を浮かべた千沙は、チラリと横目でお兄ちゃんを窺うように見て
「病院に連れて行こうとしている事も説明したんだけど……」
と言葉を詰まらせた。
「そう。わかったわ」
病院ではなく、家に戻らせるように言ったのはお兄ちゃんだったのね……
納得して苦笑いする私にお兄ちゃんは
「花菜」
と私の名を呼ぶと、真剣な瞳を向けて聞く。
「……何があった?」
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