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涙目で顔を俯かせる私をチラリと見た野島さん。
「それは違います。
そもそも上司である私……我々が花菜さんが体調不良であることを気づかず、配慮が足らなかったせいです」
私の体調不良は私のせいだけではないと庇うように言う。
そして野島さんと笹島さんの二人が
「申し訳ありませんでした」
と共に深々とまた頭を下げて謝罪したから
「ちょっ、ちょっと……いや、二人とも頭を上げてくださいよ」
何度も謝罪する野島さん達にお兄ちゃんが慌てる。
野島さん達が謝ることじゃない。
倒れた私が悪いのに……
皆に迷惑をかけてしまったんだ。
そう自覚すればするほど自分が情けなくなった私に笹島さんが気づく。
「野々村さん、大丈夫?」
弱々しい笑みを浮かべて、笹島さんは心配そうに私を見ていた。
「大丈夫です」
と私は必死に笑顔を作って
「野島さん、笹島さん、ご迷惑おかけして申し訳ありません」
迷惑をかけたと恥じる私は、二人に深く頭を下げる。
本当に自分が情け無い。
情け無さが増して涙が出そうになって堪える私は顔をなかなか上げれなかった。
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