-2-

2/10
334人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
HARUYAMA、と ローマ字で綴られた 大きな表札は、 どういう仕組みなのか 分からないけれど、 内側から当てられた光が ぼんやりと文字を 浮かび上がらせる、 モダンなデザインだった。 見上げると、数段の階段を 上がったところに建つのは、 白い壁の、大きな家。 そしてその大きな窓からは、 暖かそうな暖色系の灯りが 洩れている。 門の内側に手を伸ばし、 カンヌキを外すと、 先生は門扉を開けて わたしを促した。 「どうぞ」 「…はいっ…」 わたしは緊張で強張る身体を、 ぎこちなく門の中に進めた。 玄関前に立ち、インターホンを 鳴らしてから、先生がこちらを見下ろした。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!