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HARUYAMA、と
ローマ字で綴られた
大きな表札は、
どういう仕組みなのか
分からないけれど、
内側から当てられた光が
ぼんやりと文字を
浮かび上がらせる、
モダンなデザインだった。
見上げると、数段の階段を
上がったところに建つのは、
白い壁の、大きな家。
そしてその大きな窓からは、
暖かそうな暖色系の灯りが
洩れている。
門の内側に手を伸ばし、
カンヌキを外すと、
先生は門扉を開けて
わたしを促した。
「どうぞ」
「…はいっ…」
わたしは緊張で強張る身体を、
ぎこちなく門の中に進めた。
玄関前に立ち、インターホンを
鳴らしてから、先生がこちらを見下ろした。
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