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両頬を手のひらで包み、
ニヤニヤしながら
歩いて行くと、突然
先生が立ち止まり、
わたしは思い切り
その背中に衝突した。
勢いづいていた分、
強く脳が揺らされ、
一瞬くらりとする。
慌てて先生の腕に掴まって、
何とか倒れ込まずに済んだ。
「いたた…。先生、どうし…」
言いかけて、言葉を切る。
先生の視線の先、-―点滅する
ハザードの光に照らされて
立っていたのは、
私服姿の月子ちゃんだった。
こちらにテールランプを向けた
タクシーの後部ドアが
バタン、と閉まり、
月子ちゃんを残して
走り去って行く。
月子ちゃんは、すでに
状況を掴んでいるようで、
驚いた様子も見せず、
にっこりと笑顔を向けた。
ミニスカートからすらりと伸びた
白い足が、電灯の光に照らされ、
艶めかしく光っている。
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