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***** 「…なんにも、聞かないの」 大通りに出て、 長い直線を走らせながら、 春山先生がぽつりと言った。 わたしは、 何をどう言ったらいいのか、 分からずにいた。 月子ちゃんのために 隠していたつもりのことを、 実はわたしがとっくに 知っていたとわかったら、 先生はどんな気持ちに なるだろう。 知らないふりを続けていたことが、 まるで、今まで先生のことを 騙していたみたいで…気まずい。 それに、どうして知っているのかと 聞かれたら、…白井さんの名前を 出さなくてはならなくなる。 あの人とは関わらないって 約束したのに、…これもまた、 先生を裏切っていたようで…。
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