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「…もしかして、知ってた?…椎名」
呟くような言葉に、
わたしは顔を向けた。
先生もまた、
どう話したらいいのか、
迷っているように見えた。
「あの…」
「…うん」
わたしは思いきって
口を開いた。
「月子ちゃんが、ご両親と
一緒に暮らせずにいる事情――。
放火事件のこと、聞きました。
……それと、なぜかは分からないけど、
…春山先生のご実家の皆さんで、
月子ちゃんを支えてるってことも…」
「……」
先生は、しばらく黙っていた。
ラジオからは、明日の朝の
冷え込みを知らせる
天気予報が流れている。
わたしは窓の外を眺めながら、
先生の言葉を待っていた。
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