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先生が淡々と話してくれた 事件の内容は、…あの日、 ファミレスで白井さんに 見せられた記事の内容と、 ほとんど同じだった。 ただ、先生の言葉の端々に、 月子ちゃんを思いやる気持ちが 見え隠れして、 浮かんでくる彼女の印象は、 白井さんから 説明を受けた時のものとは、 明らかに違っていた。 「加賀は……どうしても、 当時いた施設になじむことが 出来なかったらしくてね。 同部屋の子を閉め出して 部屋に閉じこもったり、 同じ施設の仲間と 取っ組み合いのけんかをしたり、 精神的な不安定さから、 問題行動が 続いていたみたいなんだ。 通っていた学校にも 事件のことは当然広まっていて、 とても楽しく過ごせるような 状況ではなかったし…。 相当、辛い思いをしたと思うよ」
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