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わたしは、放送部室で 突き飛ばされた時のことを 思い出した。 先生の話を聞いてから 考えてみると、 あの時の激しさの裏側に、 彼女の脆さが透けて 見えるような気がしてくる。 「笹森さんは、 取り調べを担当していた 彼女の母親から頼まれて 加賀の様子を気にかけて いたんだけど……。 あまりに極端な行動をする 彼女を心配して、 以前からの知り合いだった 今日子先生のところに 相談に来たんだ」 先生はそこで言葉を切って、 ミラーを確認しながら 車線を右側に変更した。 左端に停められた 路上駐車中の車を避け、 再び左の車線に戻る。
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