1人が本棚に入れています
本棚に追加
『……ぉい』
また誰かの声がする。
『……おい!』
なんだか、つい最近聞いたような声な気がした。
「おい!!!! いい加減にしろ!! 起きろ神崎!!!」
……!!!!!??
耳元で叫ばれ、慌てて顔を上げる。
ずっと聞こえていた声は担任だったようだ。
呆れ果てた表情で俺を見下ろしている。
「お前な……いくら成績良いからって、そんな態度で授業受けていいと思ってるのか?」
俺の寝ぼけた顔を見て、何を言っても無駄だと悟ったのか担任はまた何事も無かったかのように授業を再開した。
……いつの間に寝てたんだ…?
なんか夢を見てた気がするけれど…なんの夢だか思い出せない…。
気がつくと、俺の額にはうっすら汗が滲んでいた。
……イヤな夢だったことは確かなようだな。
上体を伸ばし、また机に突っ伏してふと隣の席に目をやると、高校に入学して以来、仲が良い友人の健がニヤニヤした顔でこちらを見ていた。
「祐朔、やけにぐっすりだったぞ? イイ夢でも見てたのかよ笑」
こいつ、授業に集中しないで俺の寝顔ばっかみてやがったな……。
「バ~カ、ちゃんと授業聞いてねーと……また補習になるぞ?」
俺なりの皮肉を込めて放った言葉だったが、意味が無いとすぐに知った。
「まぁっ! ひどいわ祐朔ったら……そんなことばかり言ってると、ぐっすりおやすみタイムの祐朔寝顔写メを女子に売りつけるぞ??」
こんなことまでしてやがったのか……
「おい!!そこ!! うるせーぞ!俺の授業では静かにしてろっていつも言ってんだろうが!!!!」
あまりに騒がしい俺と健とのやり取りに、堪えきれなくなった先生からお叱りを受けてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!