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キーンコーンカーンコーン―――――…
「チッ、鳴っちまったじゃねえか。しゃーねーな。 オラきりぃーーつ!!!」
あからさま不機嫌な担任の態度に、俺と健は顔を見合わせ、少し気まずそうに苦笑いをした。
「あ、そうそう、神崎ー! ちょっと職員室来いやー!!」
教室から出ようとした矢先に担任に呼び止められ、健の方に目線を送ると、『ドンマイ!』といった表情で爽やかな笑顔で俺を見ていた。
ちくしょーー……。
担任と共に職員室に向かい、ドアの前に立つとうっすら職員室独特のコーヒーの香りが漂ってきた。
昔っから職員室って好きじゃねーんだよなぁ……。
半ば強引に連れられて使われていない相談室へ入ると、ほぼ2人同時に椅子に腰をかけた途端、担任がおもむろに口を開いた。
「で、まだ、あっちで働いてんのか?」
『あっち』とは、俺のバイトのことである。
……そう。
俺には秘密がある。
誰にもバレてはいけない秘密が。
担任には、俺の育ちや境遇などが知られているため、こうしてたまに近況報告をさせられる。
「そりゃ働いてますよ。そうしなきゃ俺の目的は達成出来ませんから。」
「でもな、何も高1で無理して体張らなきゃならないようなバイトなんて……」
何を言われても、俺は今のバイトを辞めるつもりはない。
心配そうな面持ちで俺を見つめる担任。
「心配なさらなくても、学校にも、先生方にも迷惑かけるつもりないんで。安心してください。」
その言葉に、担任の表情が少し険しくなった。
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