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二人の間に静寂が訪れ、風が音を奏でました。
桜の花びらが舞い、二人をそっと包みます。
「…名前。」
先に時を開く男の子。
何?と、続く女の子。
「名前を呼んでほしい。僕の名前を。」
男の子は、女の子の瞳を優しく見つめて言いました。
その言葉は、二人の世界の中に、ゆっくりと滲んでゆきました。
「空。」
男の子は、まるで青い空のように、微笑みます。
「私の名前、呼んで。」
女の子は、男の子の頬に触れながら言いました。
「花。」
男の子の声に、とても嬉しそうに女の子は笑います。
まるで、花が咲くように。
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