実はの実話

2/7
510人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
  馬木じゃないと駄目だったんだよ――。 詩乃は、晴れて馬木と両想いになった。 2人の様子は今までとそう変わりないけど、俺が間に入らなくても連絡を取り合っているみたいだ。 今日は日曜。 昼にバイトから帰ってくると、珍しくバイトの休みを取ったという馬木からメールが入った。 “これから深瀬さんと会うんだけど、付いてきてほしい” 約束の場所に友人を連れて行くって……。 それも、告白を断ろうとしているところに。 馬木さん、それは駄目でしょう。 ――と、思ったものの。 前々から“深瀬さん”のことは気になっていた。 もう外の気温も暖かくなって、シャツ1枚で外に出た俺は、馬木に“いいよ”というメールを返信する。 “馬木じゃないと駄目だった” 馬木は鈍い。 あいつは、大学2年のある時から“突然”モテ期がきたと思っているけど、入学当初から学部内の女の視線を集めていた。 そんなだから、俺の気持ちにも気付かない。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!