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「う、く」
「……」
どう考えたって、堀内とはしたくないって。
男となら、気持ちが無くても出来ることも出来ないって思ってた。
でも、もうずっと堀内のことを“女”で一括りにして見てたんだなって、今は思う。
この人になら、俺はもう――。
「堀内」
今は、抱き締めてやりたいって思うんだ。
怯えた顔をさせるモノから守ってやりたいって思うんだよ。
そう思うってことは――そういうことだよな?
「う、う」
口を覆っている堀内の細い手首を掴むと、簡単に引き剥がすことが出来る。
その奥で、血が滲むほど強く唇を噛み締めていた。
痛々しさが俺の心臓を無数に刺す。
「最初と今とじゃ違う。俺は、アンタのことが……多分」
いや、多分じゃなくて。
「好きだよ」
「――」
パタ、と堀内が瞼を瞬くと、目尻に溜まっていた涙がこぼれる。
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