03:夢を食う男

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「血が…!」 「……おまえ」 真っ白な包帯に映える赤。 亜月はそればかり気になって気が付かなかったが、男は亜月を凝視した。 「来い」 「え、どこに?」 「まずは俺んちだ」 「そ、その前に病院に…」 「病院は後でいい!」 出会って初めて男が声を荒げた。 血の付いていない方の手で亜月の腕をしっかりと握り、小走りで夜道を進む。 その横顔はどこか切羽詰ったように見える。 少しして二日前に見た日本家屋へたどり着いた。 乱暴に引き戸を開き、ダイニングへ亜月を押し込む。 そばにあったソファへ亜月を座らせた。 男が彼女の栗色の前髪をかきあげ瞳を覗き込んだ。 「…嘘だろ…」 男が崩れるように座り込む。 亜月は何が何だかわからず、乱れた前髪も直せずにいた。 「覚えてるのか」 男が問う。 何をだと視線で問えば、「そんなわけないよな」と彼は銀の頭を抱えた。
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