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思考が迷走していた。
目の前の掲示板には、先程から必死になって探している番号だけがすっぽりと抜け落ちてしまっている。
私立高は一切受験していない。つまり公立校に落ちたら、これまでの優等生ライフから一転し、俺の人生はニートライフに転じてしまう。
悪い夢だと思いたいが……目の前の現実はそう易々と俺を逃がしてくれはしない。
………一体どうすれば?
冷静に考えるのが一番だと、色々な要因によって震える体を無理やり沈め、この絶望的な状況を打破すべく考察に及ぶが、その答えは俺の脳内にはないようだ。
科学技術が多いに発達し、数十年で大きな進化を遂げた現代社会において、大卒でも就職することは厳しいと世間では言われている。
そんな中、まさか高校受験で失敗するとは思わなかった。
いや、一校しか受けてない俺が言えた事ではなく、何校も受けるより一つに絞った方が良いと妹に言われ賛同した俺の責任であるのだが……
……まさか、こんな事になるとは
「とりあえず、帰るか」
俺の小さな呟きなど誰の耳には届かず、合格した者達の喧騒に掻き消される。
そうして生気を失った俺は酔っ払いのような、おぼつかない足取りで校門へと向かって歩き出す。
「あっ!お兄ちゃん!」
校門を通り過ぎようとした時、後ろから聞き慣れた声が聞こえてきた。
伊崎 真姫(いさき まき)
俺の可愛い妹だ。
頭は少し残念だが、運動神経はかなり凄く、容量も良く、何より可愛い。
そんな自慢の妹が俺に向かって走って来た。
「お兄ちゃん。結果はどうだったの?」
笑顔で聞いてくる様子は可愛い事この上ないが、出来れば俺の雰囲気で察して欲しい
あっ、無理か……
バカな子なんだった。
「落ちた」
「えっ??」
ほらね
「えーっ!お兄ちゃん。すっごく頭良いのに……そういえば、私のせいで一校しか受けてないんだよね……どうしよう?どうしよう?どうしよう?」
困惑してる。
可愛い……じゃなくて!
「そういえば、受かったのか?」
真姫と俺は端的に言うと双子である。だから当然、真姫も受験した。
天下のアトリトア学園と呼ばれる、国外の何とかという国にある超有名校で、はっきり言って頭の悪い真姫には過ぎた代物である。
私立に受かっている真姫は思い出作り程度で受けた訳で、本人も受かるなんて思って無いだろう。
「受かったよ」
「え?うそだろ?」
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