プロローグ

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空から降ってきた手紙の封を切り、長いこと沈黙する。 好奇心旺盛な春人は、その文章を疑うことなく読んだ。 『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能を試すことを望むのならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの“箱庭”に来られたし』 「わっ」 「きゃ!」 春人と他三人の視界は間を置かずに開けた。 急転直下、彼らは上空4000Mほどの位置で投げ出されたのだ。 落下に伴う圧力に苦しみながらも、春人と他三人は同様の感想を抱き、同様の言葉を口にした。 「ど……何処だここ!?」 眼前には見た事のない風景が広がっていた。 視線の先に広がる地平線は、世界の果てを沸騰させる断崖絶壁。 眼下に見えるのは、縮尺を見間違うほどの巨大な天幕に覆われた未知の都市。 彼らの前に広がる世界は━━━━━━完全無欠に異世界だった。
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