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ちっ、と舌打ちすると、上がり込みリビングに入った。
ベランダへ続くサッシからは明るい日差しがカーテン越しに差し込んで、天井の照明は点いていなくとも十分明るい。穏やかな午後を絵に描いたような室内だった。
リビングの端に置いたデスクのパソコンに向かっている一人の男がいた。この男も外見は三十歳ぐらいだった。何日も着たままというだらしない部屋着姿で、一心不乱に画面を見つつ、せわしなくマウスを操作している……。
「いたら返事をしろ!」
つかつかと歩み寄ると、座っている男の襟首をつかんだ。
「うわああっ」
と悲鳴を上げたこの部屋の主である男は、無精髭の生えた顔に驚いた表情を浮かべ、訪問者を見る。
「あ、先輩。来てたんですか……」
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