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ーーーー「璃帆、本当に行く気なんだな」
身支度を整えて、必要最低限の物をバッグに詰めて階段を降りると、お父さんが私を待っていた。
お父さんの顔は少し赤くて、多分昨日の夜お酒を飲みすぎたせいだろう。
「行くよ。もう決めた事だからね」
「東京は、お前が思っているような町じゃないぞ。父さんも昔、東京にいた事があったが、良い思い出は母さんと出会えた事くらいだ」
「お父さん、それ昨日も聞いたよ」
「そうだったか?」
「そうだよ」
お父さんは気恥ずかしそうに赤い顔で苦笑いする。
その姿が、自分の父親にも関わらずなんだか可愛く見えてしまう。
「でもさお父さん。お母さんに出会えたんだから、東京へ行って良かったんじゃない?他に良い思い出がなくても、それだけで最高の思い出だと私は思うよ」
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