第5話 失ったもの

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「行ってらっしゃい」 踏み出した新たな人生の第一歩。 そこには希望が溢れていて、私の前に続くのは華やかできらびやかな道。 それ以外の闇や絶望、挫折なんて何一つ見えなかった。 いや、見ようとしていなかったんだ。 ーーーー夢から覚めて、またずいぶんと懐かしい記憶を見たものだと少し考える。 私が東京へ向かう日、あの日の私には希望の何も見えてはいなかった。 お父さんが何度も忠告してくれたはずなのに。 あの町で輝ける者は僅か一握り、栄光を手に出来るのは限られた者だけ。 残念ながら私はその一人にはなれなかった。
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