第4話 元カノ元カレ

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「紅羽やっぱダメだから、隔離してある・・・うん。・・・・うん」 東條の声は聞こえない。 「部屋は---」 ここに、東條が来るの? 電話を終えて、コッチを向いた彪翔が手を伸ばす。 「---?」 「さっき名刺貰ってなかった?」 どこから見ていたの!? あっさり没収されてしまった。 「僕、東條からお目付け役頼まれてたのに、怒られちゃうよ」 ニッコリ笑う。 「紅羽、気付かなかったの?」 ナニガ? 「周りの男連中、紅羽の事ばっかり見てたんだよ」 「そんなことないよ。誰にも声掛けられてないし」 事実、女の子とずっと一緒だったし。 「うん、彼女達にはそうするように頼んでたからね」 「はあああ?」 なにそれ。 「独占欲の強い東條が、飢えた獣の群れに紅羽をそのまま放りこむ訳ないだろう」 笑ってる。 「で、本当に未遂なんだよね」 ・・・ハイ。先輩とは。 じっと恨めしそうな目で、彪翔を睨んだ。 「・・・紅羽?」 ナニ。 「ちょっと無防備すぎるから、油断したらこれからも不意打ちにキスするから」 「はああああ?何言ってるの?!」 微笑む彪翔のその表情が、黒い。 「軽くとはいえ紅羽にそんな事したら、僕だってただじゃ済まないね」 スッと座っているわたしの方へ近付いて跪(ヒザマズ)き、 「僕の事大切に思うなら、東條にはヒミツだよ」 そう笑って、わたしの手を取り小指にそっとキスをする。 「僕たちだけの、約束---」 小指にキスしたまま、上目遣いでわたしを見る彪翔が色っぽくて、 「・・・うん」 思わず頷いてしまった。 彪翔って、あんなに色気があったっけ? 胸がドキドキする。 「それに紅羽のファーストキスは、僕とだしね」 悪戯っぽくウィンクする。 「・・・覚えてたの?」 昔戯(タワムレ)れにした、キス--- 彪翔は素っ気なかったし何事もないような態度のままだったから、忘れてるのかと思ってた。 「そりゃ・・・なのにあっさり東條に持ってかれちゃったな」 苦笑した。 「でも紅羽のファーストキスの相手と、親友のポジションは譲れないな」 そう言って、わたしの鼻の頭を軽く弾いた。
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