第4話 元カノ元カレ

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わたしを抱きしめ、気だるそうに溜息をついて頭のてっぺんにキスをする。 温かい体温。 滑らかな肌。 彼にこうして抱き締められるのって、 「・・・けっこうスキかも」 「んー?」 まだまどろみの中にいるらしい彼は、良く聞いていないみたい。 いいな。 こうゆうまったりした時間。 そう思ってたら、メールの着信が。 ピクッとした彼が、ナイトテーブルに置いてあるスマホを取って、 「・・・登録してないアドレスだな」 眉間にしわを寄せて確認する。 ・・・わたしのスマホを。 「だれ?」 もう諦めて、素直に訊いてみると、 「今日会った学生時代の友達みたいだぞ」 誰だろう。 「ミチルって知ってるか」 ああ。 「具合どうだってさ。体調不良で帰った事になってるみたいだな」 わたしを胸に抱き寄せて、ニヤリと笑う。 彪翔が上手いコト言ってくれたみたい。 「挨拶も出来なかったから」 東條を軽く睨む。 「明日良かったら飯行こうってさ。女子だけで」 苦笑しながら、キスをくれた。 「行って来いよ」 くちびるを触れ合わせたまま、そう言って、またキスをする。 「んん・・・良いの?」 瞼にもキスしながら、 「オレ、明日接待ゴルフなんだ」 はあっと、溜息をついた。 「朝早いの?」 目にかかる前髪を払ってあげながら、そのまま頬を撫でてあげる。 彼は気持ち良さそうに目を閉じて、 「5時には出るから、眠ってていいぞ」 自分がかまってあげれないからと、お許しが出た。 「ナンパには気を付けろ」 そう言って、スマホでみちるちゃんに返事をした。 もう。勝手に。 「時間と場所は、後で知らせるってさ」 女子だけだったらOKって、念を押したらしい。 はあ。 「そう言う東條は、明日女の人もいるんじゃないの?」 横目で睨むと、 「紅羽・・・ヤキモチか!?」 嬉しそうな顔をして、抱きついてきた。 わっ。 「くるし・・・」 もうっ。 なにそのデレた表情(カオ)。 「東條モテるんだから、気を付けてよね」 軽くくちびるを噛んでやった。 「んー」 ふにゃり。 すっごいデレ顔。
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