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「先輩、これ、コピー貰っていいですか。」
後輩の声に、大儀そうに応える。
「あぁ、とりなよ」
後輩、といっても元エンジニアで大卒の葛原健二は、亜里沙より6つ年上の28歳だ。期別では亜里沙より3つ下になる。
「すぐ、返しますね。」
亜里沙の横柄な態度を気にするでもなく、葛原はコピー機に駆け寄って行った。
亜里沙は年上を好む。4つから6つほど年が離れた男には特に、強い魅力を感じる、はずなのだが、この葛原についてはそれが当てはまらなかった。
中肉中背、やや垂れ気味な太めの眉が特徴の大人しそうな顔、インドアな雰囲気に反して浅黒い肌をしている。
中の中の、上くらいだろうか。ある種の年上の女は彼を好むだろう。
「先輩、ありがとうございました。」
葛原が馬鹿丁寧に、両手でプリントを差し出す。
「よし、じゃぁ、缶コーヒー微糖、あったかいのな。」
亜里沙はそれを、葛原の顔も見ずに片手でひらりと引き抜いた。
年上の男の後輩は、葛原の他にも何人かいる。彼らには、きちんと敬語で話すし、接するときは笑顔に気を付けている。亜里沙は
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