第1話

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男なんて。 亜里沙は、図書館に向かうバスに揺られながら、心の中でひとりごちてみた。 そうして、その後に続くべき言葉をいくつか思い浮かべてみてから、小さく、でも確かに重たい湿り気を帯びた溜め息をついた。 男なんて、男なんて。 亜里沙は、自分が男の力を頼らなくても生きられる強さを持った女であればいい、と思った。 それはもちろん、現実が全く真逆であることを熟知しているが故の、かなしい妄想だった。
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