第1話 森下という奴

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入学初日ということで、自己紹介とHRが終わると、もう放課。 一斉に教室から出ていくクラスメイトたち。 「ねぇねぇ、中村君」 「ん?」 そんなほとんど人が残っていない教室で、森下に声をかけられた。 それだけのことで、俺の心臓はちょっとうるさくなる。 「家って、どっち方面?」 「俺の家? あっちだけど?」 そう言って、教室の窓から見える正門を指差す。 「あ、一緒だ!! えーっと、あのさ……」 そこまで言って、急に口籠もる森下。 「? 何だよ?」 言葉の続きが気になって、俺は奴を促す。 ――ちょっと期待しちゃったり……なんてことは無いからな? 絶対に。
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