第1話 森下という奴

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「その、えと……。 もし、もしだよ? 中村君さえ良ければ、い……一緒に帰らない?」 「え」 まじかよ。 どこぞのラブコメだよ、これ。 森下が俺と一緒に……? 奴の口から飛び出した、夢のような――いや、突飛な言葉に、俺は思わず頓狂な声を漏らす。 「あ、や、やっぱ迷惑だよね……。 ごめんね!! じゃ、じゃあ……」 「おい、待てよ」 一人で勝手に勘違いして帰ろうとする森下を、俺は咄嗟に呼び止める。 「誰も迷惑だなんて言ってねぇだろ。 むしろ……いや、何でもねぇ」 顔が熱くなるのが、自分でも分かった。 きっと、今の俺は茹でダコになっているに違いない。
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