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「森下里奈です。好きなものは、スポーツ観戦です!!
一年間よろしくお願いします」
突然、思考を遮った前の席の女子の声。
その子の声は信じられないほど裏表が無く、凛としていた。
――まるで、俺と正反対。
それが、俺の森下に対する第一印象。
そして俺は、いつの間にか奴の声に聞き惚れていた。
「あの……。
次、中村君だよ?」
またも聞こえてきた、心地よい響き。
ぼうっとしていた俺の頭が、瞬時に冴え渡る。
ぶっきらぼうに「ありがと」とだけ言って、立ち上がる。
「中村遼也です。よろしく」
それだけ言って、席に座る。
案の定、ボクの淡々とした自己紹介に、クラス中にざわめきが広がった。
どうせ、変な奴だって思ってんだろ。
――また俺は、クラスの奴らから遠巻きにされるんだ。
ひねくれた性格のお陰で反射的に出てくる諦めにも似た考え。
でも……今回は、そんな俺の卑屈な予想が見事に外れることとなった。
「中村君って……
恥ずかしがり屋さんなの?」
少しはにかみながら、聞いてきた森下。
「は……?」
今までの誰とも違う不思議な反応に、俺は思わず言葉を詰まらせた。
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