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「恥ずかしがり屋……か」
「あっ、違かったらごめんね!!
でも、中村君って、きっと優しい人だと思ったから……。
ただ恥ずかしかったのかなって。嫌なこと言ってたら、ごめんね!!」
そう言って、森下は眉根をキュッと寄せ、申し訳なさそうな顔をする。
「いや、別に構わねぇよ。
ただ……こんな風に言われたのは初めてだったから」
「そうなの!?
てっきり、色んな人から言われて嫌なのかと……。
そっかぁ……。
なんか嬉しいなぁ……」
一人納得して、森下はニコニコと微笑む。
「おい、顔がニヤけてんぞ。
何がそんなに嬉しいんだよ?」
「ん?
だって、私が初めて中村君に“恥ずかしがり屋さん”って言ったんだよ?
その人の人生初めての経験に自分が関わったと思うと……。
なんか嬉しくならない?」
それが、さも当たり前のことのように楽しそうに話す森下。
「ははっ……お前こそ、頭大丈夫かよ」
俺には奴の気持ちは良く分からないけど、その満面の笑みを見ていると、つられて俺まで頬が緩んだ。
「なっ……。失礼な!!」
そう言い返してきた森下の頬は、何故かうっすら桜色に染まっていて……。
「っ……」
俺は生まれて初めて、女の子を“可愛い”なんて思った。
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