第1話

3/8
前へ
/18ページ
次へ
 くだらない話はここまでにしよう。俺はひたすら散歩を続けている。かれこれ近所を三周も回ってしまった。  不意に俺は足を止めた。そう言えば神社に行っていなかったのを思い出したのだ。一般的には試験を受ける前に合格祈願をするものだと思うが、試験前に行こうとも考えもしなかった。俺個人としては神様の存在は信じていないが、小さい頃によく親にお参りごとに連れられて行った記憶がある。存在を信じていないのにお参り行くことは無意味なことだ。それでも足は神社のある方向へと進む。たまには無意味なことをするのもいいかもしれない。  久しぶりに足を運んでみたが、あまり変わったところはなかった。ここで近所の友達と遊んだ時の事を思い出す。あの時はまだ人生が楽しかった。わくわくする気持ちがとまらない日々。だけど、それも中学生に上がった時に無くなってしまった。俺にとって所詮人生は、推察できることしか起こらないありきたりな毎日だとわかってしまったからだ。  バカだな、と今の俺はあの時の俺に思う。そんな自分が嫌で嫌でたならなかった日々の俺に。  少し前まで、人生なんて面白いことなんか何一つない、生き甲斐の無い毎日を過ごして何の意味がるのだろうかと、自問自答する日々を送っていた。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加